デザインを作成する際に用いられるさまざまな「比率」について解説
2024.05.31デザインチラシやポスターなどによる反響率を向上させるためには、ユーザー目線に立ったデザインが重要です。
どのような情報を求めているのか、どのように見せるのかなどを検討しなければ、期待しているような成果を得られないでしょう。
また、同じ情報を記載するにしても、直感的なものなのか特定の法則に則ったものなのかなどによって見せ方が変わります。
本記事では、デザインを作成する際に用いられるさまざまな「比率」について解説します。
黄金比
黄金比は1:1.618で表現される比率であり、名前の通り「最も美しいと感じる比率」といわれています。
ルーツについては古代ギリシャから使われていた、レオナルド・ダ・ヴィンチが使っていたなどさまざまです。
黄金比は古来より使われている比率であり、下記のようにさまざまな絵画に採用されています。
また、長辺(1.618)に短辺(1)の割合で線を入れ続けると、無限に正方形ができます。
多くの正方形の短編を半径として円弧で結ぶと、らせんが描かれます。
このらせんは「黄金らせん」や「フィボナッチらせん」と呼ばれるもので、こちらもさまざまなデザインに採用されています。
下記は、黄金比や黄金らせんが使われているといわれている名画の一例です。
- レオナルド・ダ・ヴィンチ作の「モナ・リザ」
- ピーテル・パウル・ルーベンス作の「キリスト降架」
- 葛飾 北斎作の「富嶽三十六景」
このように、黄金比や黄金らせんは国内外問わず、美しいといわれているさまざまな絵画に採用されているのです。
身近にある美しいと思ったものの長さを測ってみたら1:1.618だった、ということがあるかもしれません。
大和比
大和比は日本で好まれて用いられる比率であり、身近なものではA4やB4サイズが挙げられます。
比率については1:1.414 であり、先述した黄金比と比べると若干正方形に近くなりました。
大和比は「白銀比」とも呼ばれており、下記のような建物に用いられています。
- 法隆寺金堂(上の屋根の幅:下の屋根の幅=1:414)
- 五重塔(最上段の屋根の幅:最下段の屋根の幅=1:414)
- 興福寺阿修羅像(高さ:幅=1:414)
大和比は先述の通りコピー用紙にも用いられている比率であることから、毎日多くの方が触れている比率だといえます。
なお、A4やA3といったA判はドイツの工業規定であり、B5やB4といったB判は江戸時代の美濃判がルーツとなります。
白金比
白金比とは比率が1:1.1732で表現されるものであり、先述した黄金比や大和比よりも長方形として片辺が長くなります。
こちらの比率は正三角形の底辺の半分の長さと、三角形の高さの比率に等しい数値です。
先述した2つの比率と比べると、白金比はそこまで活躍の場は多くありません。
しかし、デザインにおける複数の要素の配置に用いることで、全体的にまとまってバランスが向上します。
デザインにおける比率の使い方
では、これまでご説明してきたさまざまな比率は、デザインにおいてどのように用いれば良いのでしょうか。
たとえば、A4チラシを作成する際の例を挙げます。
A4サイズは210mm×297mmで構成される紙であり、比率では大和比になります。
長辺の297mmのなかに、210mmのラインで垂直に線を引くと、下記2つの長方形と正方形に分かれます。
- 長方形:87mm×210mm
- 正方形:210mm×210mm
このように、分割することによってメインコンテンツとサイドバーで構成されるレイアウトにすることができます。
この場合、長方形と正方形の2つで構成されるため、「2カラム」と呼びます。
長方形の場所にタイトルを記載し、正方形にデザインを施すことで、バランスが取れたチラシを作成することができるでしょう。
こちらの分け方については黄金比や白金比でも採用することができる、気軽な方法といます。
色に関する黄金比
これまでは描画・デザインに関する比率について解説しましたが、配色にも黄金比と呼ばれるものがあることをご存知でしょうか。
多くの方が「美しい」と思う色の比率は下記であり、この比率を黄金比といわれています。
- ベースカラー:メインカラー:アクセントカラー=70:25:5
こちらでは、それぞれの配色についてご説明します。
ベースカラー
ベースカラーは背景や余白に使われる、印刷物全体の印象を左右する色になります。
背景色にも用いられる色であることから、派手すぎたり明るすぎたりする色を採用すると視認性が低下します。
そのため、印刷物の多くはベースカラーには白や少し落ち着いた色合いのものが選ばれる傾向にあります。
メインカラー
メインカラーは印刷物の主役となる色であり、枠組みやタイトル文字などに用いられます。
全体の比率では25%程度であることから、派手な色を採用しても問題ありません。
企業によってはコーポレートカラーを採用することがありますが、ベースカラーとの兼ね合いも考慮する必要があります。
アクセントカラー
アクセントカラーは重要度が高く、強調するべき要素に採用される色になります。
特に目立たせる必要があることから、全体の色と対照的な色が採用されることが多いです。
蛍光色や彩度が高い色などが対象となりますが、選び方が難しいときは色相関図を参考にしてみましょう。
色については下記のコラムで詳しくご説明しておりますので、ぜひご参考ください。
当社コラムページ:コントラストが効いている色使いで印刷
デザインの良し悪しを左右する要素
こちらでは、比率以外にデザインの良し悪しを左右する要素をご紹介します。
入力項目が整列していない
入力項目や記載欄を見ていると、情報を記載する場所が直線に沿っていないため、キレイに見えないことがあります。
印刷物を受け取った方に対して応募や記載をしてもらいたい場合は、記載しやすいようにデザインしなければなりません。
そのため、申し込みフォームなどを掲載する場合は左端にそろえるなど、一定の法則に乗って整列させましょう。
情報が多すぎる
デザインを作成しているときに起こりがちなのが、さまざまな情報を詰め込んでしまうことです。
一見、さまざまな情報が詰め込まれていて良い印象を受けがちですが、見にくいと判断された場合はそのままゴミ箱に処分されます。
そのため、情報が多いように見えたときは大きい情報を分割するなど、視認性向上のために修正しましょう。
文字が多い
先述の通り、印刷物を受け取った方のなかには、情報が多すぎるとそのまま捨ててしまう方がいらっしゃいます。
特に、文字が多い印刷物は自分から好んで読もうと思う方は少ないものです。
一般的に、文字よりも画像や写真のほうが伝わりやすいことから、文字を減らして画像や写真に差し替えてみましょう。
これらを反映する際にも、先述した黄金比や大和比、白金比などに則った配置で検討してみることをおすすめします。
感覚的なものではなく、一定の法則に則っていることから再現性が高く、美しいデザインを施せる点がメリットです。
おわりに
本記事では、デザインを作成する際に用いられるさまざまな比率について解説しました。
デザインにおける比率には黄金比や大和比、白金比といったさまざまな比率が含まれます。
それぞれ、デザインを美しく見せたり情報を整えたりすることが目的であり、多くのデザインに採用されています。
感覚ではなく、比率や法則に則ってデザインを作成することも、デザイナーに求められるスキルといます。
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