印刷物にも環境に配慮したエコなものを採用してみよう
2024.03.31印刷印刷物は企業・個人問わず、さまざまな情報を相手に伝えるために用いられるコミュニケーションツールです。
しかし、近年では日本だけではなく世界規模で環境に関する取り組みが行われており、ペーパーレス化が進行しています。
紙を使うシーンでも、リサイクルが可能なものや再生紙などを使う企業が多くなりました。
本記事では、印刷物にも環境に配慮したエコなものを採用するメリットをご紹介します。
日本における年間の紙の使用量
日本製紙連合会の発表によると、2021年では日本国民一人あたりの紙・板紙の消費量は185.7kgとなっています。
こちらの数値は世界各国でも高い数値であり、ひとりあたりの紙の消費量が多い傾向にあるといえます。
世界平均は55.1kgであることから、日本は平均の3倍以上の紙を消費していることになります。
このように、日本は紙の消費量が多い国ではありますが、同時に古紙回収率と利用率も高い国でもあるのです。
日本における古紙回収率は79.4%、利用率は67.0%であり、下記の数式で算出します。
- 回収率=古紙回収量÷紙・板紙消費量
- 利用率=古紙消費量÷紙・板紙消費量
日本は古くから回収・再利用のシステムが確立されていることと、国民の意識が高いことが要因と推測されます。
古紙と再生紙の違い
古紙と再生紙には、下記のような違いがあります。
- 古紙 :一度使われている紙
- 再生紙 :古紙を再利用し、再度形式化した紙
つまり、古紙と再生紙は原料と製品のような関係性にあるといえます。
参考ページ:公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)ホームページ「紙の消費は善か悪か」
(https://www.jagat.or.jp/past_archives/story/4210.html)
エコな紙一覧
こちらでは、エコな印刷物をご紹介します。
FSC(R)森林認証紙
森林は気候変動への影響を及ぼす、大気中に含まれるCO2(二酸化炭素)を減らす役割を持ちます。
森林破壊は地球温暖化につながり、雨量や気流などにも影響を及ぼす、重要な課題です。
FSC(R)森林認証紙には「FSC100%」「FSCミックス」「FSCリサイクル」の3種類のマークがあります。
非木材紙
非木材紙は、木材以外の植物や農産副産物を原料として作られている紙を指します。
紙として使用する木材は数十年間育てる必要がありますが、非木材紙に使われる素材は比較的短期間で生成することができます。
非木材紙の多くは本来、廃棄物として処分するものが多かったため、紙として再利用することで環境保全にも役立ちます。
用途については従来の紙と同様に、冊子からカレンダーなど、さまざまな形状で利用することができます。
シリアルペーパー
シリアルペーパーとは、食品を加工する際に排出される表皮や繊維を、紙として再利用している紙です。
こちらも非木材紙と同様に産業廃棄物の再利用をするだけではなく、排出元の企業が製作物として使うことができる特徴があります。
排出元の企業は廃棄物を再利用することで、環境に配慮をしているということをアピールできるため、消費者の心象を良くできます。
上記より、シリアルペーパーは製紙業と食品業界などのコラボレーション商品といえるでしょう。
バナナペーパー
バナナペーパーは名前の通り、バナナの木を利用した紙を指すものです。
バナナの木はひとつの茎から1房しか採集することができないため、次の収穫のために古い茎を切り落とします。
切り落とされたバナナの木の茎はそのまま産業廃棄物となるのですが、バナナペーパーはその茎を利用して形成された紙です。
アフリカやザンビアといった、バナナの主要生産国が、先述したFSC(R)森林認証パルプを混ぜて製紙しています。
間伐材紙
間伐材紙とは、木々が密集している森林で十分な日光を得られず、成長が妨げられた木を使用した紙です。
森林を見てみると、高くまで育っている木だけではなく、あまり高くない木が見受けられると思います。
一見、伐採をするため環境に悪影響を及ぼすと思われるかもしれませんが、背が高い木がより多くの光合成を行うようになるのです。
また、干ばつを行うことで地盤が強くなり、土砂崩れを防ぎやすくなる点も特徴といえるでしょう。
エコが相手に与える印象
企業は自社・商品・サービスの心象を良くしたいため、さまざまな施策を行います。
エコに配慮した紙もそのなかに含まれているのですが、具体的にはどのような印象を与えるのでしょうか。
こちらでは、エコが相手に与える印象をご紹介します。
お客様からの支持を得られる
環境に配慮した、エコな紙を使用して印刷物を発行することによって、お客様の支持を獲得できるでしょう。
エコな印刷物には、後述するようにさまざまなマークを付けることができ、これらは企業としての取り組みをアピールできます。
お客様のなかには環境問題に敏感な方がいらっしゃるため、そのような方に取り組みを知ってもらえるため、認知拡大に貢献します。
読者の意識改革につながる
エコな取り組みは、読者の興味を引くだけではなく、読者に環境に対する配慮・意識改革につなげることができます。
これまでは意識していなかった方でも、環境問題に取り組んでいる企業を見ると、意識を変えようと考える方がいらっしゃいます。
つまり、企業のエコ活動が、間接的にお客様のエコ活動を後援するきっかけになることがあるのです。
いずれも環境に配慮した印刷物というだけではなく、印刷物を渡す相手にポジティブな印象を与えることができるものであるといえます。
これらを渡すことで、「環境に気を付けている企業なんだな」や「自分も環境に気を付けよう」と思ってもらえるようになるでしょう。
エコな印刷物に入れられるマーク
エコな印刷物には、下記のようなマークが施されます。
植物油インキマーク
植物油インキマークとは、植物油の含有量が基準を満たしたインクで印刷された印刷物に付与できるマークです。
大豆油やヤシ油、パーム油といったものが植物油になります。
石油系のインクと比べると、植物油インクは生分解性があり、VOCの排出量が少ない点が特徴です。
バイオマスマーク
バイオマスマークとは、生物由来の資源である「バイオマス」を使用し、品質基準を満たしている商品に付与できるマークです。
近年開発された技術であり、原料には綿やパルプ、米ぬかといったものが使われています。
また、廃棄の際に燃焼してもCO2の量が増加しない、「カーボンニュートラル」に基づいている点も特徴です。
FSC(R)森林認証マーク
FSC(R)森林認証マークは、FSC(R)森林認証を受けた紙に付与することができるマークです。
適切に管理された森林からつくられた印刷用紙を使用し、認証取得をしている印刷会社に付与されます。
そのため、FSC(R)森林認証紙を使っても、FSC(R)森林認証を得ていない場合、こちらのマークを付与できません。
おわりに
本記事では、印刷物にも環境に配慮したエコな印刷物について解説しました。
日本では日本国民一人あたりの紙・板紙の消費量は185.7kg程度であることから、環境に配慮した印刷物が求められます。
エコな紙のなかにはFSC(R)森林認証紙や非木材紙、シリアルペーパー、バナナペーパー、間伐材紙などがあります。
環境に配慮した印刷物を発行することで、お客様からの支持を得られるほか、読者の意識改革につなげることができます。
そのためには、印刷物に植物油インキマークやバイオマスマーク、FSC(R)認証マークを施す必要があります。
印刷物を発行する際は、自社の利益だけではなく環境にも配慮した紙やインクを使用しましょう。
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