印刷物におけるABテストとは?実施方法や注意点について解説
2024.06.08印刷チラシやパンフレットなどの販促物は、店舗に持参したり問い合わせがあったりすることで、初めて成果を得られます。
より多くの成果を得るためには常に改善が求められますが、改善ポイントが分からない方がいらっしゃるのではないでしょうか。
改善点については取扱商品・サービスやターゲット、問い合わせ内容などによって変わるため、決まった回答はありません。
そのような場合、2つ以上のチラシやパンフレットで成果を比較する「ABテスト」の実施がおすすめです。
本記事では、印刷物におけるABテストについて、実施方法や注意点とあわせて解説します。
ABテストとは?
ABテストとは、テキストやデザインといったさまざまな要素を2パターン以上用意して、どちらが良いのかを検証する方法です。
実施する際は期間や配布エリア、ターゲットといった配布条件は同一にする必要があります。
時期をずらすと季節要因による変化の影響や、ターゲットを変えるとターゲットによる変動が考えられるためです。
ABテストはあくまで配布物そのものの良し悪しに関するテストであり、ひとつずつ要素の良し悪しを判断する際に用いられます。
一定期間ABテストを行い、少しずつ反響の改善を行うことで収益向上を図ります。
たとえば、同じ文言が書かれているチラシについて、青背景と緑背景に変更することが挙げられます。
上記条件において緑背景に変更したものの方が良い場合は、緑背景のものが有効だといえます。
また、成果が良かった緑背景と赤背景に変えたものでテストを行い、緑背景が良かった場合はどうでしょうか。
その場合、やはり緑背景の方が良かったといえるので、引き続き緑背景を使いましょう。
良かった要素を引き継ぎ、ほかの要素で継続してABテストを行うことで、高い成果が期待できます。
ABテストのメリット
こちらでは、ABテストを実施するメリットをご紹介します。
低コストで効果改善が図れる
ABテストはデザインの変更に関する比較テストであることから、低コストで効果改善を図ることができます。
デザインを大幅に変更する際、デザイナーに変更を依頼することになるため多くの時間と費用が必要になります。
しかし、ABテストの場合は特定の要素に関する変更であるため、少ない時間と費用で変更を行うことができます。
小回りが利いた改善案を立案・実装できる点が、ABテストのメリットといえるでしょう。
検証速度が速い
ABテストの特徴として、同時に複数パターンでテストを行う性質から、検証速度が速い点が挙げられます。
テストの際には複数のパターンを用意する必要がありますが、2つだけでも行うことができます。
テストや検証を行う際は、反響などが寄せられる期間を決定して実施することが重要です。
ABテストはほかのテストや検証と比べると、比較的短期間で実施できる点がメリットといえます。
ABテストの重要性
ABテストは、下記の要因から重要だといえます。
成果の良し悪しが明確になる
先述の通り、ABテストは特定の要素を変更した複数のパターンで比較を行うことにより、成果の良し悪しが明確になることです。
複数の要素を変更した場合、どの要素が成果につながったのかが分からないため、比較ができなくなります。
成果が良かった要素を引き継ぎ、別の要素についてABテストを実施することで成果改善を繰り返します。
良かった要素+良かった要素=より良いプロモーションができるといったように、継続して成果改善を行うことができます。
有効な仮説検証の手段である
成果改善を行う際、「○○が影響しているから○○なのではないだろうか?」といった仮説を立てることが重要です。
仮のゴールである仮説を立てることで、現状とのギャップを把握でき、そのために何をすれば良いのかが明確になります。
その要素として実行するのがABテストであり、考えた仮設の正誤を検証するために有効な手段だといえます。
先述の通り、ABテストは検証速度が速い特徴があるため、効率良く実施することができます。
ABテストの進め方
ABテストは、下記の流れで実行します。
1. 仮説を立てる
ABテストで重要なポイントとして、現状を把握したうえで成果改善のための仮説を立てることが挙げられます。
当てずっぽう・行き当たりばったりの改善案では検証に時間がかかったり、成果からの学びが得られなかったりすることが多いです。
そのため、「○○を改善すれば成果を得られるのでは?」と仮説を立てておくことが重要です。
2. 仮説を実行する
仮説を立てたあとは、その仮説が合っているのかを検証するために実行します。
チラシの見出しを変更したり、背景の色を変更したりすることで、成果改善を狙いましょう。
その際、いつまでも成果を待つのではなく、検証までの期間を〇日などと設けておくことが重要です。
3. 成果を確認する
企業や担当者のなかには、テストを実施してそのまま成果を確認せず放置してしまうことがあります。
ABテストもテストであることから、成果を確認して検証することが重要です。
期待しているような成果が得られなかった場合、「次はこうしよう」と次のプランを練りましょう。
4. 次のテストを行う
効果検証後、成果を得られた・得られなかったにかかわらず、次のテストを行うことで継続した成果改善を図りましょう。
ABテストには明確に終わりというものはなく、成果を得られてもより多くの成果を得るために、次の施策を行う必要があります。
小さな改善を継続して行うことで、大きな成果を得ることができるのです。
このように、ABテストの進め方はPDCAサイクルに似ているといえます。
そのサイクルが比較的早いことから、近年でもABテストは多くの企業が実施している成果検証テストなのです。
ABテストの注意点
一方、ABテストには下記のような注意点があり、意識して臨む必要があります。
- 小さなテストを何度も繰り返して実施する
- テストの結果が悪くても継続する
- 取得したデータは今後の参考とするため、必ず保存しておく
- 必ず仮説を立てて実施する
- 検証に時間をかけすぎない
これらを意識するのと意識しないのでは、成果に大きな差が現れるものです。
短期間では成果が現れなくても、継続的に長期間実施することで気が付けば大きな成果を得られていることがあります。
そのため、ABテストは「継続は力なり」を体現しているテストといえるでしょう。
テスト項目
下記は、ABテストの際に比較対象となることが多い要素です。
ファーストビュー
Webにおけるファーストビューは、ページを開いた際に最初に表示される項目です。
紙媒体の場合はページ上部など、ユーザーがはじめに目にする場所を指します。
こちらに記載する情報について、文字なのか・商品イメージなのかなどを変更することで、テストの際に比較することができます。
イメージ画像
イメージ画像は、ユーザーが対象となる商品やサービスを使用したときに得られる成果や効果を現したデザインになります。
画像に表示される人を男性と女性に分けたり、色を変更したりすることでテストを行うことができます。
さまざまなデザインを用意しておくことで、どのイメージ画像で多くの成果が得られるのかを知ることができるでしょう。
タイトル・見出し
タイトルや見出しは商品やサービスを短文で表記しているものであり、反響に大きな影響を及ぼす要素です。
切り口を変えたり、同じ内容でも文言を変えたりすることで、意外と反応は変わってくるものです。
タイトルや見出しを変更するためにはさまざまな表現方法を理解する必要がありますが、今後のクリエイティブにも活用できます。
おわりに
本記事では、印刷物におけるABテストについて解説しました。
ABテストはひとつの要素を変更した複数の印刷物に対して、同じターゲット・同じ期間に行うテストです。
低コストで効果改善が図れる、検証速度が速いといったメリットがあることから、多くの企業が現在も実施しています。
「何をすれば成果が改善できるのだろうか?」と迷っている方は、仮説を立てたうえでABテストを実施してみましょう。
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