再版?重版?改訂?増刷?それぞれの意味と違いをご紹介
2024.01.31冊子印刷冊子やチラシを印刷する際、配布枚数などの計画に則って発行部数を決定すると思います。
しかし、想定以上の反響があった場合、印刷した枚数が足りなくなることがあります。
そのような場合は追加で印刷することになりますが、「再版」や「重版」といった言葉があるため、迷われる方がいらっしゃいます。
本記事では、再版や重版、改訂、増刷それぞれの違いについてご説明します。
再版とは?
再版とは、一度出版した冊子やチラシなどを再び出版することを指します。
自費出版した書籍がすべて売れたときには、追加で収益を得るために再版を行うことがあります。
また、すでに絶版となっている書籍を再度販売する際にも、再版物として再度印刷・販売を行います。
再販制度について
再販制度(再販売価格維持制度)とは、出版社が書籍や雑誌の価格を自社で決めて、書店などで定価販売が可能となる制度です。
書籍を販売する際には、出版社・販売会社・書店がそれぞれで契約を締結します。
再版契約についても上記3者が契約を締結しており、それ以外のルートで再版物を購入することができません。
価格については独占禁止法によって再販価格の拘束は禁じられていますが、文化・教養の観点から一部適用除外が認められました。
これにより、読者は地域格差がなく全国どこでも同一価格で対象となる再版物を購入することが可能です。
ただし、こちらについては個性取引委員会と出版業界の間でたびたび議論を上げられる議題であり、現在は当面残置となっています。
いずれにしても、読者に利益があるように、最適な流通を行えるように整えることが目的といえます。
再版時の注意点
書籍の再版を行う際には、初版ではないことを示すために奥付部分を変更しておく必要があります。
奥付とは、書籍の最後にある「初版 ○年○月○日発行」といった情報を指すものです。
再版時には「初版 ○年○月○日発行、再版 ○年○月○日発行」と記載することが多いです。
こちらの奥付は、対象となる書籍に関する責任の所在を明確にするために記載しなければなりません。
記載している情報が誤っていたり、無断で引用したりしている際には責任を負うところが対応する必要があります。
重版とは?
重版とは、すでに出版されている書籍を増刷して再度販売することを指します。
先述した再版も同じ書籍を再度出版することを指しますが、重版は初版と同じ版を使って、同じ状態に刷りなおすことです。
しかし、現在多くの方は再版と重版を同じ意味で取り扱う傾向にあります。
書店に並んでいる書籍が重版になるということは、それだけ多くの読者に購入されて売れているということの表れです。
そのため、読者や筆者のなかには「売れているならすぐに重版すれば良い」と思われる方がいらっしゃいます。
しかし、出版社の観点からすると、重版は経営状況を左右する要素のため、慎重に協議を重ねてから決定します。
重版しても見込みよりも売れなかった場合、出版社は多くの在庫を抱えてしまうことになります。
また、古本が世の中に流通しだすと、消費者は低価格で初版を手に入れることができるため、ますます売れなくなるものです。
近年ではフリマアプリなど消費者間でやり取りができるアプリが出回っているため、重版が慎重になる要因となっています。
委託販売制度について
ほかの業界とは異なる出版業界の特徴として、「委託販売制度」と呼ばれるものがあります。
出版業界では、出版社が直接書籍を販売しているのではなく、書店に販売を委託しています。
形式上、書店は出版社が発行した書籍を預かって、代わりに書籍の売買を行っているといえます。
委託販売でも売れなかった場合、書店のスペースは限られているため売り場を圧迫してしまいます。
そのため、書店で売れなかった書籍を、出版社に返本できるようになっているのです。
これらの流れである委託販売制度は、出版業界で独特な制度であるといえるでしょう。
改訂とは?
改訂とは、マニュアルや教科書などの内容を見直して、正しい言い回しや内容に書き換えて発行することを指します。
取り扱っている商品やサービスのなかには、時流によって使い方や仕様などが変わるものがあります。
その際、最初からマニュアルや説明書などを作成すると、多くの労力や時間を使ってしまうものです。
そのような場合には、既存のマニュアルや説明書などを使用して対象部分を修正することになります。
この作業が改訂となり、効率良く作業を行いながら内容を修正することができます。
改訂時の注意点
改訂時には、下記の情報を記載しておきましょう。
版数
改訂を行った回数を指すものです。
書籍の最後のページあたりを見てみると、「第〇版」と記載されているのを見られた方がいらっしゃると思います。
たとえば、第2版の場合は2回、第5版の場合は5回改訂が行われたということになります。
発行年月日
初版から第〇版まで、その書籍が発行された年月日が記載されている情報です。
こちらでは、いつ・どのような改訂が行われたのかを知ることができるほか、履歴として記録する役割を持ちます。
変更した点
改訂時にはどこをどのように改訂したのかを記載しておくことで、読者の認識齟齬を防ぐことができます。
古い内容を記載しておくことによって、新しい情報との比較も行うことができるため、読者の理解を深めることができるでしょう。
増刷とは?
増刷とは、同じ内容の書籍を再度発行することを指します。
先述した重版と混同されがちですが、増刷の場合は奥付に「第〇刷」と記載されているものです。
1回目の増刷の場合は「二刷」5回目の増刷なら「六刷」のように、増刷階数プラス1刷で表記されます。
重版の場合は内容の一部に加筆・修正を行って再度印刷するため、人件費やデザイン費が発生する場合があります。
しかし、増刷の場合は全く同じ内容の書籍を印刷するため、人件費やデザイン費などが発生しないという違いが挙げられます。
ビジネスの観点では、何度も増刷されている書籍はベストセラーとなるため、高い収益を得られるものです。
重版とは異なり修正や加筆などがないことから、利益率も高い傾向にあります。
そのため、多くの出版社では再版や重版ではなく、増刷ができるようなクオリティの書籍を求めています。
ただし、重版も再版と重版と同様に混同されがちな言葉のひとつであり、ときに差別化が図れていないことがあります。
このように、再版や重版、改訂、増刷にはそれぞれ異なるものです。
しかし、なかには意味を混同したり、違う意味で解釈したりする方がいらっしゃいます。
追加で印刷をする際に、誤った言い方で出版社に伝えてしまうと、追加コストが発生する可能性があります。
そのため、筆者やライターの方はそれぞれの意味を理解して、追加で印刷する際には正しく伝えるようにしましょう。
おわりに
本記事では、再版や重版、改訂、増刷それぞれの違いについてご説明しました。
下記、それぞれの違いです。
- 再版:一度出版した冊子やチラシなどを再び出版すること
- 重版:すでに出版されている書籍を増刷して再度販売すること
- 改訂:マニュアルや教科書などの内容を見直して、正しい言い回しや内容に書き換えて発行すること
- 増刷:同じ内容の書籍を再度発行すること
意味合いが異なるため、誤って出版社に伝えると追加コストが発生する可能性があります。
そのため、書籍を印刷する方は意味を理解しておき、正しく伝えるようにしましょう。
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