ネット印刷で色校正を行う方法やチェックポイントについてご紹介
2022.12.11ネット印刷・デザイン印刷を依頼する際に、完成品の色味や質感などが気になる方もいらっしゃるかと思います。
色校正はどのように依頼をして、どのようなポイントに注意をしなければならないのでしょうか。
本記事では、色校正とは何か、印刷を依頼する際の校正方法などをご紹介します。
色校正とは?
色校正とは、対象となる印刷物の仕上がりを確認するためのサンプルを出すことを指します。
パソコン上の色と紙面上での色は異なることがあるので、自分のイメージ通りの印刷物を作成するために必要となる作業です。
たとえばパソコン上では抑え気味だった色が、実際に印刷をしてみると「発色がよすぎる」「さらに暗くなってしまった」という経験はないでしょうか。
特にデザインは自社で行い、印刷を外部に依頼する際に、印刷物の色の違いによりトラブルが発生してしまうことがあります。
このように、イメージと実物の誤差をなくす作業が色校正です。
色校正の方法
色校正の重要性をご理解いただいたところで、こちらでは色校正の方法についてご説明します。
簡易色校正
本印刷で使用する印刷機や印刷用紙を使用するのではなく、本番環境とは違う印刷機や印刷物を使用し、仕上がり具合を確認する校正方法です。
簡易色校正はおおよそのイメージを把握するために行われることが多く、後述する本紙校正や本機・本紙校正よりも印刷費用を抑えることができます。
本紙校正
本紙校正は本番と同じ用紙を使用し、本番とは違う印刷機を使用して出来具合を確認する校正方法を指します。
本番に使用する用紙はさまざまな加工やコーティングに使用されることが多く、簡易色校正よりも高額になる傾向にありますが、より具体的にイメージを把握することができます。
本機・本紙校正
本番で使用する印刷機や用紙を使用して確認する校正方法です。
本番の仕上がりとほとんど同じ仕上がりなので、簡易色校正や本紙校正よりも詳しく現物イメージを把握・理解することができます。
写真集や画集といった、シビアな色味が必要とされる印刷物に対して行われる校正方法です。
本番環境で印刷を行うため、先述の2つの校正方法よりも高額になる傾向があります。
色校正の注意点
色校正は印刷物を作成する前に行うべき重要な作業ですが、いくつか注意点があります。
こちらでは、色校正の注意点についてご説明します。
個人差による色の見え方
校正を行う方によっては「パソコン上ではもっと明るかった」という方もいれば、「パソコン上と同じ色だ」という方もいます。
個人差による色の見え方を解消するために、校正作業を行う際には責任者を立てておきましょう。
責任者の指示・判断で動くことにより、スムーズに校正を行うことができます。
印刷用紙や加工方法による見え方
先述の通り、校正方法により使用する印刷機や用紙が異なるため、完成品も異なる印象を持つ校正品が上がってくることがあります。
本番同様の印刷物を確認したいときは、費用は高額になりますが本機・本紙校正を行いましょう。
照明などの環境による見え方
照明が黄色かったり真っ白だったりする場合、印刷物の発色も異なります。
本来の印刷物の仕上がりを確認するために、校正時は真っ白な照明の下で、できるだけ影ができないような環境で行いましょう。
色校正を行う際のチェックポイント
色校正を行う際は、下記のチェックポイントを確認しておきましょう。
ロゴマークの色
ロゴマークにはデザインとしてチラシに挿入するものと、写真に写った建物に設置されたものなどが挙げられます。
色校正を行うと、会社や店舗などの色が変わってしまうことがあります。
一般的にロゴマークなどの色にはその会社や店舗を象徴する色である「ブランドカラー」が用いられます。
ブランドカラーが統一されていない場合、チラシや書籍を見た方の自社に対する印象が変わってしまうことがあります。
ロゴマークは会社や店舗の顔にもなる要素のため、正しい色に設定しましょう。
肌の色
色校正を行うことによって、人の肌の色が変わってしまい、不自然な色や顔色が悪く見えてしまうことがあります。
特に、病院やクリニックといった健康に関する施設では、先生や患者さんの顔色が悪いと不安に感じ、信頼を失ってしまった結果、集客に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、商品やサービスによって最適な肌の色になるように校正しましょう。
写真の調子や発色
色やトーンにメリハリがないと、単調な見た目になってしまうため、チラシを見た人に覚えてもらうことができません。
どの色を使えば良いかが分からなくなった場合、同じような色調で校正しましょう。
強調したいポイントは黄色や赤といった、強い印象を与える色に校正することをおすすめします。
文字色
チラシや書籍に記載される文字には、伝えたい情報がまとめられています。
強く訴えたい情報のみ色を変更することで、より強くユーザーに訴えることができます。
チラシや書籍のなかには、本文の文字色を黒や濃いグレー以外に設定していることがあります。
しかし、複数の色を使用することで子どもや高齢者といった方が視認しにくくなるため、色を使いすぎないように注意する必要があります。
色校正を行う際の伝え方
色校正の依頼を行う際は、紙面に出力してペンで修正箇所と、どのような修正が必要なのかを記載します。
データでやり取りする際は修正後の紙をスキャンし、そのデータを送付します。
下記、色校正を行う際の伝え方の一例です。
見本を用意する
「もう少し青く」「ここは明るく」といった伝え方は抽象的で、指示を受け取った方はあっているのかがわからず、修正後のものを見せると再修正となってしまうことがあります。
そのような場合、見本を用意して「添付の見本のように明るくする」といった指示を出すことで、修正回数が少なくなり、イメージ通りのデザインに仕上げることができます。
イメージしやすいものを例に出す
色校正を依頼する際は、誰でもわかりやすい表現で伝えることが重要です。
たとえば、「上から光が射したように」や「夕方の西日をイメージして」といった表現は、わかりやすい伝え方の一例です。
一方、「〇〇はつぶれないように」「〇〇の質感をもっと出してほしい」といった表現は、人によっては伝わらないことがあります。
「雰囲気はそのままに~」という伝え方
作成イメージに問題がなくても使われている色が求めているものではない場合、「雰囲気はそのままに~」といった指示を出しましょう。
たとえば、「雰囲気はそのままに、見本のように明るい色に校正してほしい」といった表現は、雰囲気に問題がないことと変更してほしい色が明確であるため、わかりやすい指示だと言えます。
色に関する用語の一例
色に関する用語を理解することで、校正内容を反映する方に伝わりやすくなります。
わかりやすい校正を依頼するために、下記の用語を理解しておきましょう。
色相
色相は色そのものや色味を指すものです。
赤・黄・緑・青・紫の5色相が基本色相で、それらを組み合わせた黄赤・黄緑・青緑・青紫・赤紫などを円状に並べた「色相環」はデザインの現場でよく見かける、色相を表すものです。
明度
明度は色の明るさを示すもので、色相のなかに含まれます。
同じ色でも明るい色と暗い色が含まれているため、明度を分けることでチラシや書籍を見た方の印象を変えることができます。
彩度
彩度は色の鮮やかさを指す言葉で、くすんだ色や鮮やかな色などに分けられます。
レトロな印象を持ってもらいたい場合は、あえてくすんだ色で表現することがあります。
また、ファッションやコスメといった、キレイな印象を持ってもらいたい場合は鮮やかな色を使う傾向にあります。
色調(トーン)
色調とは色の濃淡や明暗、強弱などを指す言葉で、明るさ暗さといったものです。
「落ち着いた色調のインテリア」「温かみのある色使い」といった使い方がされます。
同じ色でも色調を変えることで、さまざまな表現をすることができます。
コンセプト
コンセプトは高級感やお得感、楽しさといった、伝えたい内容を指します。
色は組み合わせなどによって伝わり方が異なるため、配色を決定する前にチラシや書籍のコンセプトを決めておきましょう。
下記、色と印象の一例です。
色 | 印象 |
白 | 清潔感、軽さ、明るさ |
黒 | 重厚感、高級感、硬い |
赤 | 熱、情熱、愛情 |
青 | 落ち着き、冷静、みずみずしさ |
黄色 | 幼さ、金銭、幸福 |
たとえば、白×青の組み合わせの場合、「清潔感があって明るいけど、冷静で落ち着きがある」といった印象を与えることができます。
また、色の比率を変えることで、その色が持つ印象を強めることができます。
配色の名前
配色には、下記のようにさまざまな種類があります。
これらを理解しておくことで、統一感があるチラシや冊子を印刷することができます。
ナチュラル配色
濃淡による配色で、水色×青やピンク×赤といった組み合わせが挙げられます。
違和感がなく気軽にさまざまなものに適用することができるため、全体的に統一感を持たせることができます。
コンプレックスカラー配色
コンプレックスカラー配色は、あえて違和感を出すような色の組み合わせを指します。
たとえば、ネイビー×藤色といった組み合わせがコンプレックスカラーとして挙げられ、色相が近いもの同士が使われます。
トーン・イン・トーン配色
先述した色調(トーン)をそろえた配色を指す言葉で、濃い色×濃い色や、薄い色×薄い色などが挙げられます。
パステルカラーで校正された色も、こちらのトーン・イン・トーンに含まれます。
コントラスト配色
「対照」や「対比」を表す言葉であるコントラストが含まれていることから、色の差が大きい組み合わせを意識します。
コントラスト配色の一例として、黄色×青や水色×ピンクといったものが挙げられます。
先述した色相環において、反対側にある色も対比する色となります。
校正を依頼する際の注意点
こちらでは、構成を依頼する際の注意点をご紹介します。
専門用語を多用しすぎない
先述の通り、色校正は誰でも伝わりやすい表現で伝えることが重要です。
そのため、ディテールやコントラストといった、先述した色に関する専門用語を使いすぎると伝わりにくいことがあります。
たとえば、「〇〇のディテールを出す」と言うよりも「本物の〇〇の質感を出す」では、伝えていることは同じですが、理解がしやすいのは後者だと思います。
理由を記載する
色校正の作業は、修正する情報によっては多くの時間を費やしてしまうものです。
そのため作成時には、できるだけ校正がないようにイラストや写真などを作成・加工します。
多くの作業量や作業時間を要する校正を依頼する際、作業者が納得してくれるように校正する理由を記載しておきましょう。
おわりに
本記事では、色校正とは何か、印刷を依頼する際の校正方法などについてご紹介しました。
校正方法には簡易色校正、本紙校正、本機・本紙校正の3種類がありますので、どのような校正をしたいかによって校正方法や費用も異なります。
また、色校正を依頼する際、見本を用意したり、イメージしやすいものを例に取ったりして伝わりやすい表現で、わかりやすく依頼することが重要です。
配色の名前にはナチュラル配色やコンプレックスカラー配色といった名称があるため、作成や校正を依頼する際に伝えておくことで、イメージ通りのものを仕上げてもらうことができます。
自分のイメージと印刷物の発色や質感などの誤差をなくすためには、校正作業も検討してみましょう。
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