印刷した冊子の綴じ方や製本の種類、製本方法の選び方をご紹介

2022.11.30冊子印刷

冊子印刷

「冊子印刷」という言葉をご存知でしょうか?

雑誌やパンフレット、カタログなど多くの印刷物に使用されている印刷方法です。

そんな冊子印刷を行う際に注目していただきたいのが、「冊子の綴じ方」です。

今回は冊子印刷について、冊子の綴じ方の代表的な種類も併せてご紹介していきます。

 

「冊子印刷」とは?

冊子印刷とは

冊子印刷とは、表紙と本文で構成されている本や束状になった印刷物の印刷を意味しています。

主にページ数が少なめの印刷物に適していますが、綴じ方次第ではページ数の多いものにも対応することができます。

代表的なものを挙げるとするならば、教科書・問題集・パンフレット・取扱説明書などが冊子印刷の対象になるでしょう。

モノクロ・フルカラーどちらの印刷でも対応することができます。

以前は高額な印刷物とされていましたが、現在では印刷機械が普及し始めたことにより、比較的安い料金で制作することができるようになりました。

中でも版が不要なオンデマンド印刷を導入することによって、安価でも迅速に冊子印刷を行うことが可能になりました。

ただ冊子のページ数やサイズ感によって料金も大きく異なるため、用途に合わせて選定することをおすすめします。

 

【冊子印刷】冊子の綴じ方にも種類がある

綴じ方の種類

冊子印刷を依頼する際に、決めておく必要があるのが冊子の綴じ方です。

冊子の綴じ方にはいくつか種類があるため、どのようなものに仕上げたいのかによってその綴じ方も異なってきます。

 

無線綴じ冊子

冊子の綴じ方として定番とされているのが「無線綴じ」です。

無線綴じとは、冊子にするページを順番に1枚ずつ重ねた後、専用の糊を使って背表紙部分を綴じ、最後に表紙で包むという製本方法になります。

背表紙の部分に糊付けできるほどの面積が必要になるため、どちらかというとページ数が多い冊子に適した方法だと言えます。

たとえば教科書・問題集・カタログ・電話帳などのページ数が多めの冊子でも、強度を保つことができるため、無線綴じが採用されているのです。

ただ無線綴じの冊子はページを開く際、ページとページの境目部分が完全に見開けないため、デザインするレイアウトによっては背表紙側の部分が見えにくくなります。

そのため作成する場合は、あらかじめ背表紙分のスペースを空けておき、本文・写真・図などを挿入していくという流れがおすすめです。

参考ページ:当社商品ページ「無線綴じ冊子」

 

あじろ綴じ

あじろ綴じは無線綴じを改良した綴じ方で、背となる部分に数箇所凸凹を設け、その部分に接着剤を塗布して製本する方法です。

一般的な無線綴じは100から150ページ程度の冊子に使われますが、あじろ綴じは200ページ程度の冊子に対応することができます。

また、あじろ綴じは接着剤を塗布する表面積が増加するため、無線綴じよりも深く接着剤をなじませることが可能となり、高い強度を持たせることができる製本方法です。

そのため、あじろ綴じには多くのページ数が必要となり、長期にわたって使用する辞書やコミック誌といった冊子の製本に使われる傾向にあります。

 

PUR綴じ

PUR綴じ

PUR綴じはポリウレタンアクティブと呼ばれる接着剤を使用して背を固める製本方法で、ページが開きやすい、耐久性が高い、高温に強いといった特徴があります。

先述したあじろ綴じと同様に200ページほどの厚みでも綴じることができ、中綴じのようにページを開ききることができる製本方法ですが、こちら2点の製本方法と比べて高額となる傾向にあります。

PUR製本は本を見ながら両手を使ったり、快適に読書を行ったりする必要がある料理のレシピ本や楽譜、辞書などに採用されます。

 

中綴じ冊子

見開いた状態の紙を2つに折って、真ん中部分をホッチキスなどの針金を使って綴じるという製本方法を「中綴じ」と言います。

無線綴じとは異なりページを順番に重ねるわけでは無いため、印刷する前に順番を決めて、ページ数をきちんと割り振らなければなりません。

用紙1枚につき4ページ分ができるため、冊子全体で見ると4の倍数のページ数になるという特徴があります。

真ん中部分を綴じるため、ページ枚数が薄めの冊子に適していると言えます。

具体的には雑誌・取扱説明書・社内報などが挙げられるでしょう。

そのほかカタログ・パンフレットなどもあり、非常に幅広く対応することができます。

完全にページを見開けるため、写真や図を大きく見せたい時におすすめだと言えます。

参考ページ:当社商品ページ「中綴じ冊子」

 

平綴じ冊子

平綴じとは、本の背表紙の端から数センチ程度余白を設け、ホチキスで数箇所を留める製本方法です。

先述した中綴じ冊子は紙の中心を留めますが、平綴じ冊子は本の外側から留める点が異なります。

平綴じ冊子にはホチキスの針がむき出しの状態のものと、上からカバーをかけて製本するタイプのものがあります。

ホチキスの針がむき出しのものは社内で使用するプレゼン資料や提案書といった、販売しない冊子の製本に使われます。

販売を目的とした平綴じ冊子は、ホチキスの針がむき出しの状態だと見た目が不格好になるだけではなく、ホチキスの針に引っかかってケガをしてしまう可能性があるため、上からカバーを取り着けます。

平綴じ冊子は、安全性や重要な情報が記載される学校の教科書や契約書などを製本する際に使われます。

また、ホチキスで留める前に、紙同士を固定する目的で、背の部分に接着剤を塗布して固めることもあります。

参考ページ:当社商品ページ「会議資料」

 

アイレット綴じ

アイレットとは中綴じ製本に分類される綴じ方のひとつで、ひらがなの「ひ」の字をかたどった針金を使用して紙を綴じます。

この特殊な形状の針金はリングファイルで保存する際、リングに通すための金具として使われます。

パンチで穴があけられた冊子を製本する際、穴の位置から数センチ程度余白を設けてデザインをする必要があるため、記載情報などを検討する必要があります。

しかし、アイレット綴じはパンチで穴を開けなくても保存することができるため、デザインに影響しません。

一般的にアイレット綴じが使われる冊子にはパンフレットや壁掛けカレンダーといった、定期的に更新が必要なものが挙げられます。

 

糸かがり綴じ

糸かがり綴じ

糸かがり綴じは中綴じ冊子のように紙を重ね、糸と接着剤を使用して綴じる製本方法です。

重ねた紙を糸でかがってつなぎ合わせたあと、接着剤で固定して製本します。

また、紙を綴じる際の糸の縫い方にはさまざまな種類がありますが、一般的には高い強度となる「あや綴じ」が使われる傾向にあります。

糸と接着剤を使用して固定することから耐久性に優れているため、数百ページにもなる書籍を綴じることができます。

糸かがり綴じは固定した背の部分がむき出しとなるため、カバーを取り付けて上製本にされることが多いです。

そのため、写真集や卒業アルバムといった、1ページ当たりに重量があるものや、辞書などのように薄い紙が数百ページ使われている冊子などに使われる製本方法です。

 

中綴じミシン

中綴じミシンとは中綴じ製本に含まれる綴じ方のひとつで、ホチキスではなくミシン糸で綴じる製本方法です。

ホチキスを使用する中綴じ冊子と同様にページを開ききることができるため、ページの中央部分にも情報を記載することができます。

ホチキスを使用する製本方法との違いはホチキスの針でケガをしない点と強度で、中綴じミシンはページの上から下までミシン糸で綴じるため、ホチキスよりも高い強度を持ちます。

しかし、ページ数が増えると強度が下がってしまうため、一般的には40ページ以下で製本されることが多いです。

そのため、子どもが使うものや衛生面などが意識される場所で使われることが多く、大学ノートや絵本、手帳などに採用されていることがあります。

 

和綴じ

和綴じは中国が発祥の綴じ方で、糸を使って綴じる製本方法です。

ページのノド側に数点穴を開け、その穴に糸を通して製本します。

綴じ方については穴の数や糸の使い方などにより、「四つ目綴じ」や「亀甲綴じ」「麻の葉綴じ」といった、さまざまな種類があります。

和綴じの特徴として、ホチキスや接着剤などを使用しないため経年劣化がしにくく、高い耐久性を持つ点が挙げられます。

しかし、無線綴じのようにページを開ききることができないため、ページのレイアウトや余白設定には注意が必要です。

和綴じが使われる傾向にある冊子には御朱印帳やお寺の教本といった、和のテイストを取り入れたいものに使われます。

 

コプト製本

コプト製本は歴史上、最も古い製本方法と言われており、古代エジプトにルーツを持つ綴じ方です。

「コプト」とはエジプトのキリスト教徒を指す言葉で、コプトによって使われていた製本方法と言われています。

コプト製本も糸かがり綴じのように糸を使用して製本する方法で、背表紙に出てくる糸を絡ませてチェーンステッチのような見た目になります。

現在ではほとんど目にすることができない製本方法ですが、こだわりを持った手作りの冊子を使用する際に用いられます。

 

リング綴じ

リング綴じ

リング綴じはページに開けられた多くの多くの穴に、リング状にかたどられた針金を通す製本方法です。

平綴じ冊子やパンチの穴を開ける冊子とは異なるページを開ききることができ、開ききった状態で固定することができる点が特徴ですが、ページとページの間にリングの隙間が生じるため、デザインの際には注意が必要です。

一般的にリング綴じが使われる冊子にはカレンダーやスケッチブック、リングノートといった、1ページで情報が完結する冊子に用いられます。

 

クロス巻き

クロス巻きとは、ホチキスや糸などで綴じられた冊子を、表紙をはさんで本の背表紙にクロス(布)で包む製本方法です。

テープの幅によって綴じることができるページの枚数が変わり、幅が広くなるほど多くのページを綴じられます。

また、製本時に使われるテープは布製だけではなく、紙製のものなどさまざまです。

上製本のようにホチキスや接着面、かがりに使用した糸などを隠すことができるため、美しい見た目だけではなく安全に配慮した冊子を製本することができます。

そのため、ノートや保育園・幼稚園などに使われる連絡帳など、ケガをさせてはいけないような場所や用途の冊子に使われる傾向があります。

 

綴じ方別冊子の種類まとめ

綴じ方別冊子の種類まとめ

こちらでは、これまでご紹介した綴じ方別に製本におすすめの冊子をご紹介します。

綴じ方 おすすめの冊子
無線綴じ冊子 教科書、問題集、カタログ、電話帳 など
あじろ綴じ冊子 辞書、コミック誌 など
PUR製本 料理のレシピ本、楽譜、辞書など
中綴じ冊子 雑誌・取扱説明書・社内報 など
平綴じ冊子 学校の教科書、契約書 など
アイレット綴じ パンフレット、壁掛けカレンダー など
糸かがり綴じ 写真集、卒業アルバム など
中綴じミシン 大学ノート、絵本、手帳 など
和綴じ 御朱印帳、お寺の教本 など
コプト製本 手作りの冊子 など
リング綴じ カレンダー、スケッチブック、リングノート など
クロス巻き ノート、保育園・幼稚園などに使われる連絡帳 など

それぞれの綴じ方にはメリットや注意点があるため、製本を検討している冊子のなかから最適なものを選びましょう。

 

おわりに

今回は冊子印刷について、冊子の綴じ方の代表的な種類も併せてご紹介しました。

冊子は表紙と本文で構成され束状の印刷物を指し、冊子印刷はその冊子を印刷することを表しています。

パンフレットや雑誌などを制作する際などに取り扱われている印刷方法になります。

また、冊子の綴じ方として代表的なものには「無線綴じ」と「中綴じ」の2種類が挙げられました。

用途に合わせて適切な綴じ方を選定し、素敵な印刷物に仕上げられるようにしてみてください。

 

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タグ : 冊子 印刷 綴じ方
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