印刷時には「コントラスト」に注意して見た目を整えよう
2023.01.15ネット印刷・デザイン作成したデータを印刷してみたところ、想像していた色合いと異なっていることから、違和感を持たれる方もいらっしゃると思います。
要因のひとつとして、「コントラスト」が最適な設定になっていない可能性があります。
本記事では、印刷時に注意するべき「コントラスト」について解説します。
コントラストとは?
コントラストとは、写真や画像の明るい部分と暗い部分における明度の差を指す言葉で、ハッキリと色が分かれているところは「コントラストが強い」「コントラストが高い」と表現します。
一方、明暗があいまいになっているものは「コントラストが弱い」「コントラストが低い」と表現します。
コントラストと印刷の関係
データ上でコントラストを調整し、印刷時にコントラストを高くすることで、明るい部分と暗い部分の明暗の差が大きくなるため、キレイに見せることができます。
そのため、印刷したデータを確認し、物足りなさや違和感を持った場合、コントラストを調整しましょう。
コントラスト・色の濃度・明るさの違い
こちらでは、コントラストや色の濃度、明るさの違いをご紹介します。
コントラスト
コントラストは先述の通り、色の明暗を示すもので、コントラストを高くすることでハッキリとした印象を見た人に与えることができます。
色の濃度
色の濃度は色を鮮やかにするためのもので、「彩度」と呼ばれることもあります。
濃度は高くなるほど鮮やかな色合いになりますが、高すぎると全体的に色が濃くなります。
たとえば、黄緑色と緑色では、黄緑色のほうが薄い濃度のため彩度が低いと言えます。
また、黄緑色は緑色に比べ、控えめな色をしていることが多いことから、ハッキリと見せたい場合は濃度が高い色を使いましょう。
明るさ
明るさとは、データ全体の明暗を示すもので、明るさを上げることで全体的に白っぽく、明るくすることができます。
そのため、コントラストのように特定の色や場所の明暗を分ける、といったことができません。
たとえば、白×グレーと白×黒の場合、白×黒のほうが明るさの差が大きいため、見た人が視認しやすく、分かりやすい色の違いであると言えます。
コントラストの種類
コントラストには、下記のように「明暗のコントラスト」と「カラーコントラスト」の2種類が含まれます。
明暗のコントラスト
一般的にコントラストと呼ばれるもので、先述の通り色の明るさや暗さによって調整するものです。
明るさと暗さを明確にすることで、ハッキリとした印象を与えることができます。
たとえば、赤×ピンクは同系色ですが、ピンクのほうが明るく、赤のほうが暗いため、明暗のコントラストであると言えます。
カラーコントラスト
カラーコントラストは、異なる色相にある色の組み合わせを指します。
色は赤や緑といった「有彩色」と白・黒・グレーのような「無彩色」に分けられます。
有彩色のなかには赤系や青系のようにグループ分けすることができます。
そのグループ内に含まれる色にはコントラストが無いため、ハッキリとした印象を与えることは難しいでしょう。
たとえば、赤×緑は異なる色相であるため、カラーコントラストであると言えます。
コントラストを確認したいとき
コントラストを確認するためには、対象となる印刷物を白黒で出力してみましょう。
コントラストが強い場合はモノクロになった場合でもデータが確認しやすく、コントラストが弱い場合はデータが確認しにくくなります。
一般的に、コントラストを明確にするためには濃淡差を30%以上に設定すると良いとされています。
たとえば、地色の濃度が100%に設定されている場合、強く伝えたい箇所を70%未満に設定することで、見た人が分かりやすくなります。
強いコントラストを使った場合
強いコントラストを使った場合、「メリハリ」や「硬い」「重い」といった印象を見た人に与えることができます。
旅行雑誌などで見かける青い海と白い砂浜などは、強いコントラストを使った例だと言えます。
弱いコントラストを使った場合
コントラストを弱くすることで、「ふんわり」「暖かい」といった印象を与えることができます。
たとえば、パステルカラーは同じような弱いコントラストを使ったものです。
その他、さまざまなコントラスト
コントラストには、色の明暗や濃淡だけではなく、下記のようにさまざまなものが含まれています。
大きさのコントラスト
伝えたい情報を大きくしたり、副次的な情報を小さくしたりすることもコントラストのひとつと言えます。
雑誌などに大きな文字で記載されている「注目の〇〇」や、チラシで見かける「〇〇円オフ!」といった言葉は、大きさのコントラストを活かしていると言えます。
形のコントラスト
たとえば、印刷物に丸い形のものが多い場合、見た人に退屈な印象を与えてしまいます。
しかし、丸いもののなかに三角や四角といった異なる形があることで、見た人の目を留めることができます。
エッジのコントラスト
エッジとは、輪郭の強さを示す言葉です。
最も伝えたいもののエッジを明確にし、その他のものをぼやけさせることでエッジのコントラストを出すことができます。
写真などで使われる「ポートレート」もエッジのコントラストを利用した例であると言えます。
質感のコントラスト
印刷物のなかには、「ゴツゴツ」としたものや「フワフワ」とした異なる質感の写真やイラストが使われることがあります。
先述の「形のコントラスト」の項でご説明したように、ゴツゴツとしたものばかりでは見た人に退屈な印象を与えてしまうため、記憶に残すことはできません。
しかし、ゴツゴツとしたもののなかにフワフワとしたものがあった場合、フワフワとしたものを見た人の頭のなかに残すことができます。
配置のコントラスト
配置のコントラストとは、ものの配置や距離感によって情報の強弱の付け方を指すものです。
たとえば、月と鳥が写っている写真の場合、月の横に鳥を配置することと月の前に鳥を配置することでは、月の前に配置したほうが強いコントラストであると言えます。
画面比率によるコントラスト
正方形や長方形といった画面の比率もコントラストの要因のひとつとなります。
たとえば、画面比率が大きい写真の場合、中央にある最も伝えたいもの以外の情報も含まれてしまいますが、被写体に寄って画面比率を小さくすることで、注力したいものを強調することができます。
コントラストを強調したい場合
ファッション雑誌や旅行先のように、多少調整することはあると思いますが、事実を伝えなければならない印刷物を発行する場合、コントラストを強調するためにメインとなるもの以外を含めると良いでしょう。
たとえば、ファッションアイテムを強く伝えたい場合、背景にはアイテムの色相や濃淡が異なるものを選ぶといったことが挙げられます。
また、タイトルや見出しを大きな文字で記載することも、「大きさのコントラスト」を活かした記載方法です。
このように、さまざまなコントラストを組み合わせることで、見る人への伝わり方も異なります。
おわりに
本記事では、印刷時に注意するべきコントラストをご紹介しました。
コントラストは色の明暗などを指すもので、強くすることによって見た人にハッキリとした印象を与えることができます。
また、コントラストには色だけではなく大きさや形、エッジといったさまざまな要素も含まれます。
見た人の記憶に残るように、コントラストを活用しましょう。
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