ホチキスだけではない!本のさまざまな綴じ方をご紹介

2022.11.01ネット印刷・デザイン

ホチキス以外の本の綴じ方

1枚1枚の紙をまとめて製本するには、ホチキスを使ったり接着剤を使ったりといったように、さまざまな方法があります。

それぞれの綴じ方にはどのような特徴があり、製本する本の種類によってどのように綴じ方を選べば良いのでしょうか。

本記事では、さまざまな本の綴じ方や特徴をご紹介します。

 

ホチキスを使う綴じ方

ホチキスを使う綴じ方

ホチキスを使う綴じ方は、下記の「中綴じ」「平綴じ」「アイレット綴じ」が挙げられます。

 

中綴じ

中綴じは表紙と本文すべてのページを開いた状態で重ねてから二つ折りにし、折り目部分をホチキスの針で止める製本方法です。

ページの中央部分である「ノド」を大きく開くことができるため、見開きなどページ全体に文字やイラストを印刷しても見やすいといった特徴があります。

製本する際にはページ数が4の倍数になるように製本する必要がありますが、ページ数が増えると本の内側にあるページがはみ出てしまうため、小口部分を整えるためにはみ出た部分を裁断する必要があります。

下記、中綴じについて詳しく説明しているページです。

参考ページ:中綴じ冊子印刷とは?無線綴じとの違いや製本方法、用途をご紹介

 

平綴じ

平綴じは表紙と本文すべてのページを重ねてから2つ折りにしたあと、本の背から5mm程度の箇所をホチキスや糸で綴じる方法です。

先述した中綴じとは異なり、ノドを開ききることはできませんが、中綴じよりも多くの紙を留めることができます。

本文を表紙で包むことによってホチキスを隠すことができますが、その際は接着剤を使用するため、本文と表紙で強度に差が出る点には注意が必要です。

 

アイレット綴じ

アイレット綴じは中綴じに含まれる綴じ方で、紙を綴じる際に使用する針金がCの形に変形したものを使用します。

小さな穴という意味を持つアイレットは、壁に差し込んだ押しピンに通すことで壁に掛けることができるため、カレンダーや店頭のメニューなどに使われる綴じ方です。

また、パンフレットなど、こまめにファイリングする必要がある資料をリングファイルの金属パーツにアイレットを通して保存することもできます。

アイレット綴じは穴を開けない綴じ方のため、ノドの余白を気にせずに印刷できる点が特徴です。

 

ホチキスを使わない綴じ方

ホチキスを使わない綴じ方

こちらでは、ホチキスを使わない綴じ方をご紹介します。

 

無線綴じ

無線綴じは本文に使われる用紙をページの順に並べて、背になる部分に糊を付けて綴じる製本方法です。

数百ページなど、大量の紙を綴じることができる製本方法で、文庫本や辞書、カタログの制作に適しています。

また、無線綴じは背表紙ができる製本方法であり、タイトルや著者などの情報を記載しておくことで、本棚に保管しても確認しやすくなります。

無線綴じをより詳しく知りたい方は、下記のページをご参照ください。

参考ページ:無線綴じ冊子印刷とは?製本方法や用途についてご紹介

 

あじろ綴じ

あじろ綴じは折り工程の際、背となる部分に細かい切れ込みを入れ、そこに接着剤を塗布して強度を上げる製本方法です。

一般的な無線綴じよりも強度が上がる一方、ページの内側に切れ込みを入れて接着するため、ノドが開きにくくなる点には注意が必要です。

あじろ綴じは200ページ以上の本や、紙が分厚い本に適している綴じ方です。

 

PUR綴じ

PUR綴じはポリウレタンリアクティブ(PUR)という接着剤を使用して紙を留める製本方法です。

PURは薄く塗っても高い耐久性を持つため、一般的な中綴じ冊子よりも長持ちし、本が開きやすくなるといった特徴があります。

中綴じとは異なりノドを開ききることができるため、ノドの部分を気にせずページ全体に印刷することができる製本方法です。

 

糸かがり綴じ

糸かがり綴じは糸を使用する綴じ方で、1本の糸でページごとを波のように縫ったあと、糸で綴じた部分を平らにしてから糊で固める製本方法です。

本の強度が高く、大きく開いてもページが抜け落ちないといった特徴があるため、頻繁に使う教科書やページを大きく開く絵本などに使われます。

近年では接着剤の技術が向上したことにより、先述した無線綴じやあじろ綴じなどが使われる傾向にあります。

しかし、強度が高い綴じ方のため、ページ数が多かったり分厚い表紙を使用したりする本を製本する際などで、現在でも使われている製本方法です。

 

中綴じミシン

中綴じミシン

中綴じミシンは冊子の背の中心をミシンで縫う綴じ方で、ホチキスを使用する中綴じ製本と同様にノドを開ききることができます。

中綴じ製本との違いとしてはホチキスの有無で、読者にケガを負わせてしまう心配がある方は中綴じミシンによる製本方法を選ぶ傾向にあります。

また、中綴じミシンはホチキスを使用する中綴じよりも強度が高いという点も特徴です。

 

和綴じ

和綴じは中国発祥の綴じ方で、2つ折りにした本体に表紙を付けて、丈夫な糸で綴じます。

下記、和綴じで使われる糸の結び方です。

 

四つ目綴じ(よつめとじ)

本を綴じる際、本体や表紙に4つの穴を開け、その穴に縦横へ糸を通して製本する結び方です。

 

亀甲綴じ(きっこうとじ)

先述した四つ目綴じの部分に2つずつ、合計8つの穴を開け、その穴に紐を通してカメの甲羅のような形状で結ぶ方法です。

 

麻の葉綴じ(あさのはとじ)

四つ目綴じと同様に4つの穴を開け、麻の葉のようなデザインで糸を通す結び方です。

 

康煕綴じ(こうきとじ)

四つ穴綴じと同じ方法で製本しますが、めくれやすい角の部分を補強する結び方です。

 

コプト製本

歴史上、最も古い製本方法と言われているコプト製本は、表紙と本体に数箇所穴を開け、それらを紐で固定する製本方法です。

背表紙に出てくる糸が鎖状になっている製本方法で、この糸は「チェーンステッチ」と呼ばれます。

「コプト」とはエジプトにおけるキリスト教徒を指す単語で、コプト製本の技術は1~2世紀のエジプトで確立されたと言われています。

近年ではコプト印刷を用いた本はほとんど見受けられませんが、フォトブックや写真集、自作の冊子などこだわりを出したい本に使われることがあります。

 

リング綴じ

リング綴じはリング状の金属パーツを使用して綴じる方法で、表紙や本体に複数の穴を開け、そこにリングを通して製本します。

360度開くことができるといった特徴があるため、ページをめくりきって使うリングノートやカレンダーなどに用いられます。

 

クロス巻き

クロス巻きはホチキスで留めた表紙と本体をクロス(テープ)で包む綴じ方で、クロスの幅を調整することによりさまざまなページ数の冊子を製本することができます。

また、伝票など紙をはがして使うものについては、ホチキスを使用せずにクロスだけで止めます。

 

綴じ方に適した本の種類

綴じ方に適した本の種類

下記、本記事で取り上げた綴じ方と本の種類をまとめた表です。

 

綴じ方 本の種類
中綴じ 週刊誌、パンフレット、楽譜、会社案内
平綴じ 企画書、配布資料
アイレット綴じ カレンダー、パンフレット、店頭のメニュー
無線綴じ 文庫本、辞書、カタログ
あじろ綴じ 月刊誌、辞典、カタログ
PUR綴じ 写真集、パンフレット、地図、レシピ本
糸かがり綴じ 教科書、絵本
中綴じミシン アルバム、写真集、作品集、絵本、手帳
和綴じ 俳句集、朱印帳、経本
コプト製本 自作の本
リング綴じ リングノート、 カレンダー
クロス巻き 大学ノート、伝票

 

おわりに

本記事では、さまざまな綴じ方をご紹介しました。

製本時はホチキスの有無に限らず、ページ数や本の内容などを考慮して綴じ方を検討する必要があります。

読者が不自由なく本の内容を楽しめるよう、綴じ方にもこだわりましょう。

 

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タグ : 印刷 綴じ 綴じ方
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