CDジャケットの印刷時はデザイン・折り方・ページ数に注意しよう
2023.07.10ネット印刷・デザイン近年では、定額で好きなだけ音楽を聴くことができる「サブスクリプション」が普及しています。
好きなときに好きな音楽を好きなだけ聞くことができるため、多くの利用者が愛用しているものです。
しかし、限定やサブスク非対応といった付加価値を付けるため、CDのみの販売をしているアーティストがいます。
CDのデザインが良い場合、いわゆる「ジャケ買い」の期待が高まります。
そのため、アーティストにとってCDのジャケットはこだわりたいポイントのひとつです。
本記事では、CDジャケットを印刷するときに施すデザインや折り方、ページ数についてご説明します。
CDジャケットとは?
CDジャケットの主な用途は、CDの内容やアーティストの雰囲気を表現するためのものです。
世の中には多くのCDが流通しているため、平凡なデザインではほかのCDに埋もれてしまう可能性があります。
そのため、お客様の手に取ってもらえるよう、アーティストやレコード会社はCDジャケットのデザイン制作に力を入れています。
実際に、CDジャケットのデザインを変えたところ売り上げが増加したアーティストは多くいるものです。
CDジャケットにこだわることで、これまでそのアーティストを認知していなかった人にも知ってもらえる可能性があります。
また、音楽が好きな人のなかには、いわゆる「ジャケ買い」でCDを選ぶ人がいます。
こだわりがあるCDジャケットは、結果として多くの人に聞いてもらえるほか、アーティストの収益につながります。
このように、CDジャケットはプロモーションと収益に直結する、重要な要素だと言えます。
CDジャケットの用途
CDジャケットには、先述したようにアーティストや曲の雰囲気を表すだけではなく、さまざまな用途を含んでいます。
普段、音楽を聴くときにリリック(歌詞)が気になる、という方は多いことでしょう。
また、好きになった曲をカラオケで歌ってみたいと思った方は、歌詞やメロディを覚えようとします。
そのような方たちのために、CDジャケットのなかに歌詞を記載することがあります。
歌詞を記載したCDジャケットは、中綴じ冊子や偶数ページに折りたたんで収納されています。
下記、CDに使われる印刷物の一例です。
フロントジャケット
フロントジャケットはCDの表面に使われる印刷物で、ほとんどの方がこちらをCDジャケットと呼びます。
記載する情報はCDのタイトルやアーティスト名のほか、内側のページには歌詞などが挙げられます。
また、先述の通りフロントジャケットはお客様の興味を引くために、さまざまなデザインが施されています。
バックインレイ
バックインレイは、CDの裏面とトレーの間に挟み込む紙です。
曲名や価格のほか、著作権や肖像権に関する情報を記載することが多い傾向にあります。
また、CDトレーが透明の場合、バックインレイは両面に印刷するアーティストが多いです。
帯
帯とはCDジャケットの外側に設置するもので、パッケージングの際にCDケースの外からかぶせます。
アーティスト名やCDの見出しなどを記載し、より多くのお客様が手に取ってくれることを目的としています。
帯は必ず用意しなければならないものではありませんが、あったほうがプロモーションにつながる可能性が高いです。
CDジャケットに使われる紙の種類
こちらでは、CDジャケットに使われる紙の種類をご紹介します。
薄手(73kg)
薄手(73kg)は新聞紙やコピー用紙と同じ厚さの紙で、ペラペラととても薄いことが特徴です。
重ねても分厚くならないことから、ページ数が多いCDジャケットに用いられます。
一方、73kgの紙はその薄さから高級感がないだけではなく、両面に印刷をしたときに透けてしまう点には注意が必要です。
そのため、73kgの紙はほかの紙と比べて使用頻度が低い傾向にあります。
標準(90kg)
標準(90kg)はカタログやパンフレットなど、多くの冊子に使われている紙です。
こちらの紙は光沢加工が施された「光沢紙」や、ツヤが抑えられた「マット紙」などさまざまな種類が含まれています。
CDジャケットのデザインによってはツヤがあったほうが良い・ツヤを押さえたほうが良いなど最適な加工が求められます。
そのため、さまざまなデザインに合わせた加工方法を選べることから、90kgは多くのCDジャケットに用いられています。
厚手(110kg)
厚手(110kg)は商品や映画のパンフレットなどに用いられることが多い紙です。
1枚でもしっかりとした厚みがあることから、丈夫さだけではなく高級感を演出することができます。
一方、分厚くなったことで、枚数によってはCDジャケットに収まらない可能性があります。
CDジャケットを制作する際、枚数に合わせた最適な紙の厚さを検討することが重要です。
厚手(135kg)
厚手(135kg)はファッション誌の表紙やポスターなどに使われる、厚めの紙です。
ダイレクトメールやポストカードにも使われる紙であることから、その丈夫さをご理解いただけると思います。
分厚い用紙であるため、アルバムよりもマキシシングルなど曲数が少ないCDのジャケットに採用されることが多いです。
こちらの紙にもコートやマットなどさまざまな加工が施すことができるため、CDジャケットに合わせた加工方法を選びましょう。
極厚(180kg)
極厚(180kg)はCDジャケットに使われる紙のなかでは最も厚い紙で、官製はがきと同様の厚さです。
その厚さからほかの紙よりもCDジャケットとして使われる頻度は少ないようです。
しかし、厚さや丈夫さを利用して、プラスチックカバーを使用していない紙ジャケットに使われることがあります。
紙ジャケットは表面と裏面にのみ印刷することができるため、記載できる情報量に限りがある点には注意が必要です。
CDジャケットのページ数と折り方
冊子のCDジャケットは、下記のように偶数ページになるように制作する必要があります。
2ページ
2ページのCDジャケットは、1枚の紙を半分に折りたたんで作成されます。
表紙には曲やアーティストのイメージを施し、内側のページには歌詞やアーティスト写真などを掲載することが多いです。
見開きのサイズは120mm×120mm程度が一般的です。
4ページ
4ページのCDジャケットは2枚の紙を半分に折りたたんで、中央部を針金などで留めた冊子です。
2ページのCDジャケットよりも記載できる情報量が多くなったため、曲数が多いCDに使われます。
一般的にはマキシシングルなど2~3曲程度のCDに使われることが多く、内側には各曲の歌詞が記載されています。
6ページ
6ページのCDジャケットは3枚の紙を半分に折り、折り目の部分を針金で固定した冊子です。
記載できる情報が4ページよりも多くなったことから、5~6曲程度録音されたEP(Extended Playing)に採用されることが多いです。
また、曲数が少ないCDでも、アーティスト写真などを掲載して付加価値を高めているものもあります。
8ページ
8ページ以上の冊子は、主にアルバムに使われます。
ページ数が多くなるほど1枚の紙は薄いものを使う必要があるため、曲数や使う紙の種類には注意が必要です。
CDジャケットをデザインする際のコツ
アーティストにとって、CDを手に取ってもらう・購入してもらうことは認知度や収益を向上させるための重要な要素です。
しかし、見たことがあったりオリジナリティがなかったりするデザインのCDは、あまり手に取ってもらえないことでしょう。
では、CDジャケットをデザインする際にはどのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。
こちらでは、CDジャケットをデザインする際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
絶対に必要な情報をピックアップする
CDジャケットを作成する際、写真やイラスト、CDのタイトルは必ず記載しましょう。
写真やイラストは、そのCDに含まれている曲がどのような雰囲気の曲なのかを視覚的に知ってもらうために必要です。
また、曲の雰囲気がバラバラの場合、アーティストの写真のみを使うことがあります。
CDのタイトルについては表題曲のタイトルを記載することが多いです。
限られたスペースを最大限に活用する
一般的なCDジャケットは、120mm×120mmのサイズであることから、記載できる情報量に限りがあります。
そのため、無駄にスペースを空けたり、無理やり情報を詰め込んだりするとお客様が手に取る可能性は下がってしまいます。
また、最適な情報量を記載しても写真やイラストとかぶってしまうと、情報が伝わりにくくなります。
限られたスペースを最大限に活用するためには、どの情報をどこに記載するのかといったことを考えることが重要です。
カラーイメージを利用する
カラーイメージとはその色から連想するイメージを指すもので、さまざまなデザインに利用されています。
下記、カラーイメージの一例です。
- 赤:アクティブ・情熱的・生命力・闘争心
- 青:クール・誠実・冷たい・清潔
- 黄:快活・注意・明るい・アクティブ
- 白:清潔・純真・軽い・空虚
- 黒:高級・シック・重厚・陰鬱
CDによって聞いてくれる人がどうなってほしいのか、どんな感じの曲が入っているのかなどがさまざまです。
音楽は聴覚で楽しむものですが、こだわりがあるCDジャケットは視覚的に楽しめるものです。
特に、イメージカラーを利用したCDジャケットは聞いた人に曲のイメージを植え付けやすくなります。
強く伝えたいことを明らかにする
こちらの技術はCDジャケットだけではなく、チラシやパンフレットなどにも用いられています。
チラシの場合は商品名や価格、パンフレットの場合は商品の特徴などが、特に伝えたい情報の一例です。
CDにおいてはアーティスト写真やCDのタイトルが、最も伝えたい情報となります。
最も伝えたい情報にアクセントカラーやメインカラーを使い、その他の場所はベースカラーで落ち着かせると効果的です。
下記、それぞれのカラーで最適とされている比率です。
ベースカラー:メインカラー:アクセントカラー=70:25:5
たとえば、ベースカラーにグレー、メインカラーに青、アクセントカラーに黄を使うといった配色が挙げられます。
これらの色は、先述したカラーイメージを参考に選びましょう。
おわりに
本記事では、CDジャケットに施すデザインや折り方などについてご説明しました。
CDジャケットはCDの内容やアーティストの雰囲気を表現するためのもので、より多くの人に聞いてもらうことが目的です。
一般的なCDジャケットでは厚手(110kg)や厚手(135kg)の紙が使われる傾向にあります。
また、CDジャケットは2ページや4ページのように、必ず偶数ページになるようにデザインします。
CDジャケットをデザインする際は、下記のポイントを抑えておきましょう。
- 絶対に必要な情報をピックアップする
- 限られたスペースを最大限に活用する
- カラーイメージを利用する
- 強く伝えたいことを明らかにする
多くの人に聞いてもらえるように、魅力的なデザインのCDジャケットを作成しましょう。
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